WHO(世界保健機関)ユニセフが共同声明した「母乳育児成功のための10カ条」は、”産科医療施設には、母乳育児の保護、推進、支援に対して特別、重要な役割を持つこと”を明記しています。

<母乳育児を成功させるための10か条>

  1. 母乳育児の方針を全ての医療に関わっている人に、常に知らせること
  2. 全ての医療従事者に母乳育児をするために必要な知識と技術を教えること
  3. 全ての妊婦に母乳育児の良い点とその方法を良く知らせること
  4. 母親が分娩後30分以内に母乳を飲ませられるように援助をすること
  5. 母親に授乳の指導を充分にし、もし、赤ちゃんから離れることがあっても母乳の分泌を維持する方法を教えてあげること
  6. 医学的な必要がないのに母乳以外のもの水分、糖水、人工乳を与えないこと
  7. 母子同室にすること。赤ちゃんと母親が1日中24時間、一緒にいられるようにすること
  8. 赤ちゃんが欲しがるときは、欲しがるままの授乳をすすめること
  9. 母乳を飲んでいる赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを与えないこと
  10. 母乳育児のための支援グル-プ作って援助し、退院する母親に、このようなグル-プを紹介すること

母乳育児に関する利点は多くの人が知るところですが、母乳だけで育てられている乳児は、まだまだ少ないのが現状です。母乳育児をスムースにスタートするためには、産科医療機関が母乳育児に対して「どのように考え、どう対応」しているのか、その認識と実践が重要な意味を持っていることは言うまでもありません。

1989年に出されたWHO/ユニセフ共同声明は数ヶ国語に翻訳され、小冊子として発行されています。日本語版は、日本母乳の会に版権が委譲され、1999年に翻訳・発行されました。

この冊子には、「母乳成功のための10カ条」が共同声明されるに至った背景がすべて包括されており、産科医療施設が現在どのように母乳育児を助け、あるいは妨げているのかを検討し、実施していくためのチェックリストも設けられています。